2025年6月10日

【有機雪下にんじんの花芽】の写真1

春の訪れを告げる

やわらかな陽射し。

 

その光を浴びながら

信州・まごころふれあい農園さんの畑で

静かに芽吹く

「有機雪下にんじんの花芽」

 

冬のあいだ

深い雪の下でじっと寒さに耐えていた人参は

春を迎えると

地中から力強く伸び

やがて小さな命のつぼみ

花芽をつけはじめます。

 

人参の花を

ご覧になったことがあるでしょうか。

 

その花は

濃い緑の葉の中にひっそりと咲く

まるで白いレースのような

繊細な美しさを持っています。

 

儚く、可憐で

どこか守ってあげたくなるような雰囲気。

 

今回は、その「咲く直前」

つまり花芽の状態を

食材としていただきました。

 

花を咲かせる直前の芽には

命が一気に集中しています。

 

甘み、香り、ほろ苦さ

そのどれもが凝縮され

まるで山菜のような

上品で洗練された味わい。

 

塩でシンプルに揚げるだけで

春の芽吹きのエネルギーが

そのまま身体に届くような

滋味深い味わいになります。

 

人参の花言葉は、「幼い夢」

 

この言葉は

人参が子どもたちに親しまれる野菜であること、

 

そして、咲く花の姿があまりにも

純粋で無垢なことから

付けられたといわれています。

 

その白い小花は

どこか幼い日の夢のように

やさしく、懐かしい記憶を

そっと呼び起こしてくれます。

 

ひとつの野菜に

ここまでの物語が宿っていること。

 

そしてその命の輝きを

旬の一瞬に味わえること。

 

まごころを込めて土と向き合い、

寒さのなかで命を守り、

春に芽吹く久保田さんのにんじん。

 

その花芽を

私たちの料理の中で活かせることは

とても有難いこと。

 

「幼い夢」をそのまま口にするような

やさしく、力強い春のひと皿。

 

この季節だけの特別なご馳走を

どうぞお愉しみください。

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