2025年6月11日

【馳走 ちそう】   の写真1

「本当のご馳走とは、こういうことなのだ」

 

そんな想いが

ふと胸に湧き上がる一皿があります。

 

有機雪下にんじんの“花芽”の天麩羅。

 

見た目には控えめなその姿からは

想像もつかないほど

奥深い香りと味わいが広がります。

 

にんじんの花芽は、

冬の間ずっと雪の下で眠っていた命が

春を迎えて初めて地上に顔を出す部分。

 

栄養価が高く、

βカロテンやビタミンCK

カルシウム、カリウム、食物繊維などを

豊富に含んでいます。

 

1年のうち、ほんのひとときしか出会えない

特別食材です。

 

その希少な花芽を

シンプルに天麩羅に。

 

塩でいただくと

素材の持つほろ苦さと

ほのかな甘みが絶妙な

バランスで口に広がり、

 

まるで上品な山菜を

いただいているかのような

清らかな余韻が残ります。

 

そしてその奥に

ふわりと感じるのは

確かに“にんじん”の香り。

 

野菜本来の香気と

冬を越えた力強い滋味が

静かに、

でも確かに

身体に沁みわたっていくのが分かります。

 

舌だけでなく、

身体そのものが喜んでいる感覚。

 

このひと皿を味わえるということの

何と幸せなことでしょう。

 

こうした料理に出会えるのは、

まさに“馳走”

 

“馳せ走る”という言葉の通り

食材を探し、作り手を訪ね

想いをつなぐ

すべての手間と時間の先にある贈り物なのだと

改めて感じさせられます。

 

信州の「まごころふれあい農園」

久保田さんが育ててくださった

この有機雪下にんじん。

 

自然と真剣に向き合い

育てられたからこそ

この一瞬の美味しさをいただくことができる。

 

私たちは

地のものを一番美味しいタイミングで

そしてとびきり美味しいかたちで

お届けすることを大切にしています。

 

その鍵を握っているのは

やはり生産者さんのまごころ。

 

久保田さん、

本当にありがとうございます。

 

このにんじんの花芽の天麩羅は

まさに「今」しか味わえないご馳走です。

 

ぜひこの一瞬の旬を

五感で味わっていただけたら幸いです

記事一覧を見る