先日
私達、夫婦にとって
とてもお世話になった方との
お別れがありました。
最後にお会いしたときの
笑顔が忘れられず
「お会いしたい」
その想いでいっぱいでした。
7年前に
私が何もできないまま
その方の元に行った時も
時に厳しく
そして
時に母のように優しく
私に一からたくさんのことを
教えてくださいました。
自分が不甲斐なくて
くじけそうになるときも
「おきばりやす」と
そっと和菓子をくださったり
お正月には
新しい帯締めや伊達締めを
ご用意くださったり、
体調が万全ではなく
咳が出るときには、
「これに大根を漬けて
シロップを飲むといいのよ」と
ハチミツを渡してくださいました。
お気持ちが
嬉しくて、嬉しくて
その瓶を抱え
泣きながら帰ったことが
つい、この間のことのように思い出されます。
「もっと時間があったら
貴方にも教えたいことが山ほどあるのに」
子育てをしながら働く私に
まっすぐ向き合ってくださいました。
優しい方でした。
私が目指す「女将」でした。
数年前に
「大切なお友達と
善光寺さんに行きたいの」と
ご連絡くださり
夫と私もお会いする機会をいただきました。
その際に
咳をされていたので
ハチミツに大根を漬けて
小さな瓶に詰めて
ホテルにこっそり届けたことを
大変喜んでくださって
「ありがとう!ありがとう!
一晩で風邪もどこかに行ってしまったわね」と
おっしゃってくださった笑顔に
やっと、
少し恩返しができたと
こちらのほうこそ
嬉しかったのです。
「また会いましょうね。
夫婦で力をあわせて頑張りなさい。」
握手した手があたたかくて
優しくて
嬉しかったのです。
もっとお話ししたかった。
開業して落ち着いたら
胸を張って会いに行きたかった。
おかげ様で、今がありますと
御礼をお伝えしたかった。
そんな想いも寂しさも後悔も
抱えています。
それでも
その方のいのちの時間に
関わらせていただけた幸せを
かみしめて生きていきます。
いつか
お会いする日が来たら
心から感謝をお伝えしたいです。
お別れの日には
間に合わなかったけれど
ご挨拶だけは、と向かった私達を
あたたかく迎えてくださったご家族にも
心から感謝申し上げます。
変わらず美しいお写真を前に
ご報告と感謝をお伝えする機会と
対話させていただく時間をありがとうございました。
あの日
お伺いする事ができたこと
心より感謝しております。
「一緒に働けた君たちは幸せだったな」
その一言に
深い尊敬と愛情が伝わってきて
また涙が溢れました。
その後にいただいた一皿に
「武士道」のような魂を受け取り、
日々、精進して生きていこうと
強く心に誓いました。
お二人からいただいた「宝」を
「一流とは何か」を
教えていただいた全てを
私達も受け継いでいきたい。
たくさんの方の
生きる糧となるよう
「想い」を繋いでいきます。
言葉にできないほどの感謝と
尊敬を込めて。