『生きる糧となる
記憶に残る
時間と料理とおもてなしのある場所で
在り続ける』
これは私達が一番大切にしている想いです。
背景には2つのエピソードがあります。
一つ目は
大切な人とのとても悲しい「別れ」です。
長いことずっと、
何もできなかった自分を責めていました。
何もできなくて、ごめん。
気が付かなくてごめん。
大切に思っていることを
言葉にして伝えなくてごめん。
思い出すと、
苦しくて、悔しくて、悲しくて
全ての思いに蓋をしていました。
何を食べても、
何も感じることができませんでした。
ある時、
法事の席で、
「悲しんでもいいのです。
心に蓋をせず
思い切り泣いていいのです。
思い切り泣いて、
そのあとに、
亡くなった方との
良い想い出を話しましょう」
という言葉をいただきました。
皆で心から泣きました。
たくさん話しました。
そのあと食べた食事を
私は一生忘れられません。
美味しかった。
「食」のありがたみを
心底感じました。
身体の隅々まで
エネルギーが行き渡るようでした。
生かされている、と感じました。
それから
生きる、と決めました。
もう一つは
私の祖母のエピソードです。
認知症の祖母は
家族だからこそ
難しいこともありました。
でも、あるお正月
夫である店主が作ったおせちを
家族で食べた時のことです。
いつも硬いものは食べられない、と
眉間にしわを寄せていた祖母が
「これも食べたい
あれも食べたい」
と、まるで子供の様に目をきらきらさせながら
身を乗り出しました。
小皿に乗せた料理を
「美味しいねぇ、美味しいねぇ」と
とても嬉しそうに大切に食べました。
祖母は亡くなるまで
「あの時、たのしかったねぇ
みんなで食べてよかったねぇ
美味しかったね」と話してくれました。
だからこそ
私達の思い出す祖母は
「美味しいねぇ、楽しいねぇ」と
子供のように
笑顔をいっぱいに浮かべて
今も輝いています。
悲しみや苦しみの想い出ではなく
嬉しそうな祖母の笑顔。
とてもあたたかな気持ちで
胸がいっぱいになります。
どちらも大切な「食」の記憶。
あなたと過ごせてよかった。
この先も想いを胸に
一緒に生きていくのだと
感謝の気持ちが溢れてきます。
皆さまの人生にも
沢山の出会いがあり、
別れがあると存じます。
私達は、
命を輝かせる「紡ぎ」でありたい。
ご縁をいただいた方にとって
『生きる糧となる
記憶に残る
時間と料理とおもてなしのある場所で
在り続ける』
これが私達の志です。
ぜひ「紡ぎ」で
信州の旬がもりだくさんの懐石料理と
こだわりの十割の信州そばを
お召し上がりいただきながら
大切な方と
かけがえのない命の時間を
お過ごしください。